黒と赤の潮流 (ハヤカワ・ミステリワールド)福田 和代


この方の作品はクサレ心を刺激する人物に出会えるから好きです。
今回も 素敵な投資コンサルタントがいました。
真木良介
上から下まで隙のない身なりで纏めながらも
女から送られた ちょっとセンス悪めのネクタイ をしめてたりする。
少し崩れたところが魅力。一見気さくで でも隙はない。
仕事のパートナである(株)高見の美中年社長・高見聡氏のことが大好き。
社長が大切で大切で仕方ない様子。
ほんと素敵な脇キャラなんだけど ・・・
惜しいんですよぅ〜。
彼だけじゃなく とてもイイ感じな人物がいっぱい登場するんだけど
肝心の展開が 散漫というか 散っちゃって薄味 というか ・・・
主な舞台は大震災の傷跡深い神戸。9月の1週間の出来事。
震災の日に殺されたタイ人の青年・ドゥアン。
その友人だった元天才スプリンターの大学生・間嶋祐一は
ドゥアンの幼馴染の留学生・タオを尋ねる。そして事件の渦中に取り込まれていくのだけど
その他に その20年前に起きた事件 というのが絡んでいて ・・・
20年前、密輸の摘発に協力して事件に巻き込まれ半身不随になった男・高見聡 と
高見の幼馴染で、摘発を指揮していた刑事・古賀俊夫
そして密輸ブローカーの陳国順
3人の因縁の決着 が 間嶋祐一の成長物語と一緒になって
結果全部が薄味になっちゃった感じ。
祐一中心に話が進むのか と思ったら 古賀がメインっぽく展開していき、
しかし高見社長との対立で気分が盛り上がってきた所で 唐突に古賀の影が薄くなる。
高見社長と古賀の恨みや後悔の念や女を挟んだ愛憎の感情とか
彼らを取り巻く脇キャラの魅力っぷりなんかを思うと ほんと生意気言うようだけど勿体無い。
おっさんたちの葛藤中心ハードボイルド路線か
青年が男になる姿を描く成長物語路線か どっちかを濃くしてくれたらよかったなぁ。
でも
ほんと素敵ぞろいですよ。
タイ人の幼馴染コンビもイイし、高見社長を囲む男たちもイイ。
刑事にもいろんなタイプがいるし、クセのあるヤ○ザもいる。
女性がちょっと薄目な印象ですが その分(?)高見社長が美しい。
50歳には見えない美貌の高見社長は 島を一つ買い占めてそこに篭ってお暮らしです。
車椅子でクレー射撃を嗜み、タバコの煙に敏感です。
投資コンサルタントの真木とは付かず離れず ちょっとスリリングな関係っぽく、
漁師の川西という献身的な男もいる。もの凄い 愛され男・高見聡。
親友だった古賀さんとの愛憎も楽しみ所です。
イイとこタップリ 故に惜しい心地の作品でした。