白薔薇と鎖 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Paul Doherty 和爾 桃子

齢90にして あらゆる欲望いまだ衰えず元気いっぱいなロジャー・シャロット翁が
敬愛する主人であり親友でもあるベンジャミンと共に過ごした若き日の冒険の数々を
若干の誇張や見栄嘘を交えつつ物語る回顧談16世紀の英国を舞台にしたミステリ。
ヘンリー8世やマーガレット王妃ほか この時代の実在人物たちと
主人公たちをはじめとする架空の人物たちが巧く絡み合い、違和感なく存在しています。
私のような英国史に詳しくない者でもスッと読み通せました。
( 巻頭に歴史上の人物の紹介ページが設けてあるのも良いお助け♪ )
『 風雲児ロジャー・シャロットシリーズ 』 となってはいますが
実際に謎を解明したりするのはベンジャミン。ロジャーは狂言まわしのような感じといいますか、
ベンジャミンのサポート役といいますか。
そもそも事件に関わることになるのだってベンジャミンがウルジー枢機卿の甥っ子だからだし …
このベンジャミンという人物がイイんですよ。
ロジャーより2歳上。澄んだ瞳で人を疑うことを知らない純粋な人 かと思いきや
腹の底にはロジャーでさえもがドキッとさせられる程の部分も持ち合わせていたり。
そんなベンジャミンが 何故かロジャーをとっても信じて頼りにしているのです。
周りがロジャーの素行の悪さを咎めて 「 そんな男と関わるな 」 と忠告しても
まったく聞く耳持ちません。
“ 血と血の誓い ” を迫るほどにロジャーを頼りにしています。
ロジャーのほうでも自分の損得抜きにしてもベンジャミンを大切に思っています。
このコンビを観ているだけで充分楽しいので
密室トリックがトリックってほどでもないくらいのものだったり
ラストまで引っ張った 謎の詩の最初の2行の意味するところ が
詩が登場した時点で分かっちゃうものだったりしても全然へっちゃら(笑)
英国史に詳しくない私には 史実に絡んだ謎解き自体も面白いものだったし。
でも知らない私が詰まらずに楽しめたくらいだから
色々詳しい知識をお持ちの方にとっては物足りない感じなのかしら?
シリーズ2作目以降がなかなか翻訳刊行されないのはその辺りにも原因が?
あぁ この主従イイのになぁ。