乱歩〈上〉新保 博久 山前 譲


今年の年末耽溺本は乱歩生誕百年を記念して1994年に出版された 『 乱歩 』 をチョイス。
700ページ強という重量級の上下2巻組み。
乱歩の中短編作品や書簡、エッセイ、乱歩論など収録。
ふと読みたくなった 『 屋根裏の散歩者 』 と 『 押絵と旅する男 』 も収められているので
これにしました。
乱歩が自身の 「 厭人癖 」 「 孤独癖 」 「 同類嫌悪 」 などに触れた文章の後に
続けて初期短編を読むとその性癖が作品に滲み出ている感じがより濃厚に見えてくる気がします。
上巻に収録の 『 屋根裏の散歩者 』 主人公の郷田三郎が変装をして街へ出かけ、
自分が犯罪者や探偵となる空想に耽って楽しむ件で
「 女装をして男どもを翻弄する自分 」 を想って喜ぶのが一番気に入っている様子なのが
ちょっと淫靡です。
男どもを嘲笑う というのでなく 女装した自分が男どもを手玉にとる感覚 に快を見出している。
他にも 屋根裏へと入っていく時に犯罪者風を装って身なりを支度するのですが
「 昔映画で観た “ 女傑プロテア ” のようにしたかった 」 と考える。
男性である自分が女性を装って男を弄ぶ、大それた事を仕出かす という空想に胸躍る三郎。
この後起こる出来事や明智探偵の真相解きなどよりも
この辺の三郎の心理が面白いと思うのです。
同じく上巻に収録の 『 人でなしの恋 』 もお気に入りのひとつ。
漏れ聞こえてくる門野と “ 女 ” の話し声。なんだか甘美。耽美で淫靡。
それにしても この本重い。肩がコリますよぅ。